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フォークリフトの労働災害による死亡災害の推移と発生状況について、厚生労働省より提供されている資料を掲載致します。
最も多い事故は「墜落・転落」によるもので、次いで「転倒」、「挟まれ・巻き込まれ」と続いており、この3項目は常に上位を占めています。どのような状況で災害が発生しているのかをご覧頂き、今一度、職場の皆さんと作業環境の見直しをしてみて下さい。
尚、こちらの資料は「建設荷役車両 第42巻250号」(2020年11月発行)より、フォークリフトに関する内容を抜粋しています。
【目 次】
平成17年からの車両系荷役運搬機械の労働災害による死亡者数の推移がグラフ1の折れ線グラフ、また機械の種類別の内訳が棒グラフです。
令和元年の死亡者数は24名であり、平成17年の45名と比べると、21名の減(47%)でした。これはフォークリフト発生件数の減によるものであり、ここ数年1〜3件の発生であった不整地運搬車は、5件の発生となり、平成21年(7件)以来の高い数値となりました。
令和元年に発生した車両系荷役運搬機械の労働災害による死亡者数は、前年の27名に比べ3名減(11%減)となりました。
機械の種類別・業種別の死亡者数は表1・グラフ2のとおりです。機械の種類別ではフォークリフトに起因するものが19名(前年比7名減)でした。
業種別でみると、製造業が7名と多く、全体の29%を占めています。次いでその他5名、農林業/畜産・水産業4名となっています。次に、車両系荷役運搬機械の種類別・事故の型に分類したものが表2・グラフ3です。最も多いのは「墜落・転落」によるもので9名、次いで「転倒」5名、「挟まれ・巻き込まれ」4名と続き、この3項目は今年も上位を占めました。
災害の発生概要を見ると、フォークリフトのうち「オーダーピッキングトラック」(運転席とともにフォークが上下に昇降する)で2件の高所からの墜落が発生しており、安全帯の完全着用が望まれます。
(単位:名)
製造業 | 鉱業 | 建設業 | 道路貨物運送業 | 陸上貨物取扱業 | 港湾荷役運送業 | 農林業/畜産・水産業 | 商業 | その他 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
フォークリフト | 7 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 3 | 2 | 4 | 19 |
不整地運搬車 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 5 |
7 | 0 | 3 | 2 | 1 | 0 | 4 | 2 | 5 | 24 |
(単位:名)
墜落・転落 | 転倒 | 激突 | 飛来・落下 | 崩壊・倒壊 | 激突され | 挟まれ・巻き込まれ | その他 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
フォークリフト | 5 | 5 | 0 | 2 | 0 | 3 | 4 | 0 | 19 |
不整地運搬車 | 4 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 |
9 | 5 | 1 | 2 | 0 | 3 | 4 | 0 | 24 |
業種 | 災害発生状況 |
---|---|
鉄鋼業 | スクラップ用鉄製パレットを、被災者及び同僚2名にて顧客先に出向き、トラック荷台上に搬送作業中、被災者がフォークリフトを運転し、当該空パレットを顧客先の敷地境界付近に降ろした後、敷地外の市道方向に後進させたところ、市道脇に添った用水路にフォークリフトごと転落し、当該フォークリフトの下敷きになった。 |
機械器具製造業 | 被災者は操縦席とともに、フォークが上下に昇降するピッキングフォークリフトを使用し、地面からの高さ2m以上に上昇した操縦席上で、隣接した棚から製品の補充作業を行っていた際に地面に墜落した。ピッキングフォークリフトの操縦席には可動式の手すりが設置されていたが、被災時には当該手すりは上にあげられており、また、ヘッドガードには安全帯が取り付けてあったが、被災者は使用していなかった。 |
その他の製造業 | フォークリフトの爪の部分に労働者を乗せて、棚に置かれた荷物(5kg)を取ろうとしたところ、爪の部分から足を踏み外して約2.5m下のコンクリート床上に墜落し、頭部を強打した。 |
道路貨物運送業 | 被災者は、プラットホーム上に仮置きしていた荷(パレット2段積み)のうち、2段目の荷を所定の位置へ運搬するため、フォークリフトを運転し、フォークを2段目パレットの高さまで上昇させた後前進させたところ、急加速し、プラットホーム端部から1.3m下の地面までフォークリフトごと転落した。運転席から投げ出された被災者は、フォークリフトの下敷きとなった。 |
陸上貨物取扱業 | フォークリフト(オーダーピッキングトラック)の傍で、被災者が頭部から出血して倒れている状態で発見されたもの。災害発生直後にフォークリフトの運転席が高さ約3mの位置にあったことから、運転席の位置でラックから荷を取ろうとした際に墜落したものと推定される。 |
業種 | 災害発生状況 |
---|---|
金属製品製造業 | 事業場内で、被災者がフォークリフトを運転していたところ、何かしらの理由で傾斜のある路肩に乗り上げて、フォークリフトが横転し、座席から投げ出された被災者がフォークリフトのヘッドガードと地面に頭をはさまれた。 |
その他の製造業 | 被災者は、2.5tフォークリフトを用いてフレコンバックに入った飼料(500kg)をサイドクランプの片方の爪で吊って運搬作業をしていた。その後、大きな音が響いたため同僚が駆け付けたところ、フォークリフトが横転し、フォークリフトの後方フレームに胸部を挟まれて下敷きになっている被災者を発見した。なお、現場に段差はない。 |
道路貨物運送業 | フォークリフトを運転してパレットの運搬作業中、敷鉄板上を後進していたところ、左後輪が敷鉄板から脱輪した。フォークリフトが左側に傾いたため、被災者は運転席から飛び降りたが、転倒したフォークリフトと地面との間に挟まれた。 |
小売業 | 被災者は倉庫内に保管されている敷料をフォークリフトを用いてトラックに積み込む際、資材掴み用アタッチメントを最大揚程に上げたまま勾配6°の斜面を後進している時にフォークリフトと共に転倒した。転倒後、ヘッドガードの下敷きになった。 |
清掃・と畜業 | 事業所が所有するフォークリフトが横転し、機体と地面の間に挟まれた状態で倒れていた被災者を事業場に隣接する会社の関係者が発見した。 |
業種 | 災害発生状況 |
---|---|
農業 | 倉庫内において、トラック荷台上のコンテナから多量のゴムの木(長さ約2m、径5cm)を降ろす作業を4人で行っていた。コンテナの一つの面の差し込み式の柵をフォークリフトで引き抜こうとしたところ、荷崩れ防止用に設置していた木がはじかれ、車両近くの地上にいた被災者の頭部を直撃した。被災者は保護帽を着用していなかった。 |
その他の事業 | 出張先の構内で、機械(800kg)の移設のため、フォークリフト(最大荷重2t)を用いて搬送中、床面に段差(最大4.5cm)ある部分を通過した際、機械が左右に横転し、誘導していた被災者が建物と壁とプレス機械に挟まれた。 |
業種 | 災害発生状況 |
---|---|
農業 | 被災者は同僚2人と倉庫内の整理作業を行っていた。同僚の1人が倉庫内から倉庫外のアスファルト路面にフォークリフトを移動し、停車させていたところ、被災者と当該フォークリフトが路面の路肩から約60cm下の水田に転落し、被災者の顔が水田に埋没している状態で発見された。 |
卸売業 | 被災者は、トイレに行くために作業場所から事務所へ敷地内を歩行していたところ、後方から走行してきた同僚が運転するフォークリフト(最大荷重:3,550kg)に激突されて、倒れた後、当該フォークリフトの前輪に胴体をひかれた。 |
その他の事業 | ふ頭の岸壁において、輸入されたコークスの入ったフレコンバッグの検数作業を行っていた被災者が、別の作業員の運転するフォークリフトに激突された。 |
業種 | 災害発生状況 |
---|---|
土石製品製造業 | 被災者は工場内において床の掃除をしていた。一方、別の者が荷を前進で移送していたところ、傍らで、別の型枠の準備作業をしていた者がフォークリフトの下部に被災者が巻き込まれているところを目撃し、フォークリフトを停車させたが、被災者は車体に巻き込まれた状態で発見された。 |
金属製品製造業 | 工場内で、最大荷重15tのフォークリフトを使用して、母材コイルの運搬作業をしていたフォークリフトの運転者が、梱包を外す作業のためフォークリフトを降り工場内を歩行中に安全靴が落ちている事に気付き、確認したところ当該フォークリフトの車体の真下に倒れている被災者を発見した。 |
農業 | 作業を終え、作業現場から300m程度離れた詰所に戻るため、フォークリフトのフォークに被災者が乗車し、移動している際何かの拍子でフォークから落ちた被災者がフォークリフトの後輪に頭部を轢かれた。 |
清掃・と畜業 | 被災者はフォークリフトを使用して鉄の廃材を運搬する業務を行っていたところ、廃材のツルハシの金属部がバックレストの下部に引っかかっていることに気づいたため、フォークを上げてバックレストの下部に入り込み、ツルハシを引き抜いたところ、フォークが降下し、被災者の頭部がバックレスト部と地面に挟まれた。 |
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